シニアのキャリア開発

シニアのキャリア開発

65歳になっても働く意味

60歳定年であっても、希望すれば誰でも65歳までの継続雇用が可能になりました。今では、約70%の定年退職者が再雇用を選択するそうです。そして、65歳まで頑張って働いたというひとたちは、「これでいよいよ仕事人生は終わりだ」とほっとしているかもしれません。

しかし、65歳での男性の平均余命は約20年、女性は24年と、人生はまだまだ続きます。“わがよき人生”の仕上げには、この間の生き方こそが大事な要素となります。

これからは、誰のためでもなく、自分自身のために生きることを考えましょう。理想は自分のしたいことを“主体的に”探し出し、そのことを楽しみながら、マイペースでやっていくことです。ただ、それを見つけるのは簡単ではありません。どうしたら実現できるのでしょうか。

65歳になっても働く意味

自分を知る

最初にすることは「自分自身を知る」ことです。下に質問を用意しました。普段、あらたまって考えたことはないかもしれませんが、定年となり再就職も終わり、これからどのように生きていくかと思った時に、誰もが頭の中にもやもやと渦巻く思いではないでしょうか。これにしっかり向き合うことで、自分という人間の真の希望や方向性が見えてきます。

  • 自分はどんな経験と知恵を身につけてきたのか。
  • 自分はどんなことに関心があるのか。
  • これから社会とどんな形でかかわっていきたいのか。
  • これから絶対にしたくないことはなにか。
自分を知る

本ページのタイトルは「シニアのキャリア開発」ですが、40年以上働いてきた方々には、十分なキャリアがあります。それを自分なりに自覚して、さらに伸ばすことができれば、目標が定まり、可能性も広がるでしょう。

「働く」という選択肢

その重要な選択肢の一つが「働くこと」です。働くことにはたくさんのメリットがあります。

第一に、仕事は“生きがい”でもあるということです。働くことで、社会とのつながりや人とのコミュニケーションを維持することができます。働くことの最大の目的は収入を得ることですが、日本人は働くことに生きがいを感じる人たちです。その証拠に、65歳以上の働く日本人の割合は世界一。また、何歳まで仕事をしたいかと聞いた調査では、「働けるうちはいつまでも」が最も多い答えでした。“生涯現役”は日本人の理想の生き方なのです。

もちろん、収入も大事です。長寿は喜ばしいことですが、生きていくためにはお金が必要です。平均的なサラリーマンだった夫婦の年金月額は平均22万円。毎月の生活費には最低でも3~5万円ほど不足するといわれています。少しでも長く働いてその部分を補うことができれば、老後生活への不安は減少します。

外せないのは、健康です。家のソファに身を沈めていても、何も始まらず、いいことはありません。運動不足でたちまち健康不安に。家族もそんな状況を喜びはしないでしょう。家族は、定年後もやりたいことを見つけて、いつまでも元気でいる姿を見ていたいのです。

「働く」という選択肢

期待されるシニアの労働力

今の日本では、定年後に働くことは社会的要請でもあります。少子高齢化が進み、人手不足は深刻な状態です。そこで、まだまだ元気な65歳以上のシニア世代にも力を貸してもらいたいという業界・業種がたくさんあります。65歳以上の求人は決して少なくありません。人生経験が豊富で、対応が優れているシニアは、“引く手あまた”なのです。

ただし、問題もたくさんあります。働く意欲があるにもかかわらず、実際に仕事に就いた人は、働きたい人の20%程度といわれています。熱心に就労を働きかけている一方で、「仕事はしたいが、仕事がない」状態にあるシニアのほうが多いのです。

これは当然です。シニアだからといて、働くことができれば何でもいいというわけではありません。いきがいや社会参加という意味合い、それに適正な処遇がなければ、経済的に困っていない限りは働く気にはならないでしょう。シニア世代の新たな仕事を開拓する準備も産業界にはまだ整っていません。

しかし、一方で、自分は何をしたいか、どんな仕事があるか、どんな働き方があるかを知らないまま、リタイア後の人生設計が十分でないままに65歳を迎えてしまった人たちも大勢います。

定年後の働き方にはたくさんの選択肢や可能性があることを知ってもらい、「無理はしないで、もう少し働いてみようか」と思っていただくことが、この「東京セカンドキャリア塾」の一番の目的だといえるかもしれません。

期待されるシニアの労働力
執筆者:松本すみこ

有限会社アリア代表取締役、NPO法人シニアわーくすRyoma21理事長。
シニアライフアドバイザー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタントとして、シニア世代の動向研究、ライフスタイル提案と情報提供を行う一方、自治体のシニアの地域デビュー・生涯現役講座の企画運営・講師、企業のシニア市場参入支援などを行う。

東京セカンドキャリア